孫の代まで伝えたいこの愛着、愛情〜各地の「お話」を再話、民話集を刊行
歴史の長い鹿嶋には、鹿島神宮の「要石」や根本寺の「仏頂和尚」など、各地に多くの民話が伝えられている。その民話を鹿嶋の言葉で残したいと、「鹿嶋の民話」が刊行された。
発起人は鹿嶋市に住む西岡邦彦さん(65)。同市の「鹿嶋語り部の会」による民話の語りを聞いたことがきっかけ。素晴らしさに感動したものの、ほとんどは口伝で、文字として残っているのは、市が制作した15話分のつづりのみという実情を聞き驚いた。
「歴史ある鹿嶋ならもっと多くの民話があるはず。形として残し、子供たちに伝えていきたい」と平成18年1月に「鹿嶋の民話保存実行委員会」を発足させた。
「語り部」や地域の高齢者から聞き取りをしながら、「常陸風土記」や「鹿島神宮社報」「鹿島町史」などを参考に、116編拾い上げ、子供たちが読みやすいか、夢が持てる内容か、後世に伝えていきたい話か、などを基準に49編に絞り込んだ。30回を超える作業を繰り返し、物語として再生する「再話」という形でまとめた。方言を語り伝えるために、郷土の言葉で編集したのも大きな特長。物語ごとに入れる挿絵は、市内の各中学校美術部に依頼し、うち19編で協力を得た。
話の中に、「大船津」「棚木」などの地名や「鹿島城」「平光寺」といった寺や城が数多く登場するため、巻末には市内を「神宮」「鹿島」「大野」「高松」と4つに色分けして物語ごとに番号を振り、その場所を地図でたどることが出来るよう配慮。更に「えがーい…大きい」「かぴだ…稲を刈った後の田」といった、方言の解説も入れた。
49編の中から12編を抜粋し、地元のミニFM局・FMかしまの協力を得て語り部の会のメンバーが吹き込んだCDも付けた。ゆったりとしたBGMに乗せて「むが〜し、むがしな…」と始まり「…だとさ。はい、おしめぇ」と結ばれている。
20編の再話を担当した鹿島神宮宝物殿勤務の萩原康行さん(60)は「小さな頃におふくろから聞いた物語が絶えず頭にあり、その語り口を思い出して文献をベースに物語を膨らませました。大変というよりは楽しかったです」と話し、「昔話は、(その物語の舞台となった)地元に対する愛着と、語り聞かせてくれた母への愛情とも重なって、心の中にしまわれていくようなもの。孫にも伝えていきたいですね」と話した。
本は市内の幼稚園、小学校、中学校の他、図書館と各まちづくりセンターに置かれている。市役所で販売もしている(1000円)。詳しくは・0299(82)2911 市まちづくり推進課へ。