主婦が作り出す一流の味〜住宅街の小さな洋菓子屋 アトリエ マドレーヌ
日立市国分町の住宅街の一角に昨年10月、洋菓子の店「アトリエ マドレーヌ」がオープンした。その抜群のおいしさが評判となり、週4日だけ営業の小さな店には、口コミで知った遠方からの客やリピーターが次々と訪れている。オーナーは上野昭子さん(62)、スタッフとして働くのは、上野さんが主宰する「ケーキ教室」の生徒だった40〜50代の主婦4人。
●最高の材料と技術
店に並ぶ生菓子や焼き菓子、チョコレートなど約60種類はすべてこの5人で作っている。おいしさの秘密は材料と技術。上野さんがこれまで築き上げてきた人脈を活用し、トップレベルの材料を取り寄せ、それに加え、東京プリンスホテルの元製菓料理長・渡辺義雄さんを招いて定期的に講習会を開き、最先端の技術を学んでいる。
「(店を始めるにあたり)技術や材料への不安はありませんでしたが、最も心配だったのはスタッフをどうするかでした。1人では出来ないし…」。そこで思い当たったのが、自宅で15年来開いているお菓子教室の生徒だった。「断られたらどうしようと心配でしたが、皆さん快く引き受けてくれました」と上野さん
。
「菓子作りが大好きなので、もっと技術を盗みたいという気持ちで、お手伝いさせてもらっています。どうしたらお客様に喜んでもらえるか、毎日がわくわくどきどきの連続」とスタッフの1人、井上美恵さん(51)。
●子育てしながら
東京出身の上野さんは、母親の影響で若い頃から洋菓子作りへの関心が高かった。73年に結婚して日立市民になってからも、講習を受けるため、毎月のように東京へ出掛けたほど。
一方で5人の子供の育児にも手を抜かなかった。子供たちが小、中学生の頃にPTA活動で差し入れた菓子が大評判になり、お母さん仲間からの要望もあって「ケーキ教室」が生まれた。市内のブティック「蔵」にチョコレートボンボンを置いてもらったところ、売れ行きがよく、店主から「自分の店を持つように」と、強く勧められたこともあった。
10年前には全国の一流洋菓子職人で組織された「内海(うつみ)会」への入会も認められ、今ではここでの人脈が上野さんの菓子作りを大きく支えている。更に1年前には市内の女性起業家のサークルに仲間入りして、ビジネス感覚も磨いてきた。
●条件は整った
子供たちが自立して家もほとんど空っぽになり、条件が整ったと判断した上野さんは、「自分の店」造りを決意。自宅をリフォームして、約20坪の工房とガレージ奥に3坪の店舗スペースを設け、「アトリエ マドレーヌ」を誕生させた。
「狭い住宅街で分かりにくい場所なのに、それでも買いに来てくださる方が多いのでうれしい。主婦として身の丈に合った経営を心掛けていきたいと思います」と上野さん。
スタッフは今、知恵を出し合いながら夏向けの新商品作りに取り組んでいる。
★アトリエ マドレーヌ
日立市国分町3の2の28 ・0294(37)0767
火、水、金、土曜の午前11時〜午後7時営業
http://www.atelier-madeleine.jp